不動産が共有状態になっているケースは多くみられます。不動産が共有名義になる典型的な要因は、相続で複数の相続人に権利が分散することでしょう。普段は特に気にするようなことはなくても、たとえば、共有者のうちの一人が認知症になってしまった場合、権利全体が実質的に凍結状態になったり、また、共有者が増えたりして、結果的には不動産の価値が毀損されることもあり得ます。そうなると、特に賃貸している不動産については、柔軟に管理することは難しくなります。
共有名義人の一人が認知症になり成年後見人がつけられた場合、不動産の売却のほか、大規模修繕などを行う場合にも家庭裁判所の許可が必要になります。また、一人が死亡し、その配偶者に共有持ち分が渡り、子がいない場合には遠縁の人たちに権利が移転することも考えられます。
このような事態を回避する方法として有用なのが、家族信託制度の活用です。共有名義者間で各持ち分の家族信託契約を行い、「権利」は各共有者(委託者兼受益者)にそのままの状態でありながら、「名義」を一本化してその名義人が受託者となり、不動産の管理や運用はもちろん、不動産全体の売却や担保設定も可能になります。
このように、信託特有の機能を活用すれば、不動産の共有持ち分に限らず、複数の不動産や多数の株主に分散した株式を一人の受託者に信託することで一括管理が可能となり便利です。ご興味のある方は、専門の税理士へご相談下さい。