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「集中力」という単一の能力は存在しない。その全体像を把握するためには、人間の心の基本的システムである本能(獣)と理性(調教師)の性質を理解する必要がある。
「ヤバい集中力」を発揮するには、獣に栄養を与えることが大切だ。脳に良い食品を増やし、悪い食品を減らすことで、脳機能の改善が期待できる。
「報酬の予感」で獣を作業に夢中にさせ、「マイ儀式」の反復で集中モードを作ることができる。
150〜200mgのカフェインを飲むと、約30分で疲労感がやわらぎ、注意力の持続時間が長くなる。ただし、カフェインは脳への作用が強く、一度に缶コーヒー2本(カフェイン400mg)以上は飲まない、カフェインの吸収を穏やかにするためにミルクかクリームを入れる、起床後90分以内は摂取しない。カフェインはブースター的な役割。

本書ですすめられているのは、順を追って考えていくことで「報酬の予感」が最適化されるワークシート「報酬感覚プランニング」だ。紙を用意し、上から順に「(1)ターゲット」「(2)重要度チェック」「(3)具象イメージング」「(4)リバースプランニング」「(5)デイリータスク設定」という枠を設けよう。

(1)には重要だが集中できないタスクを、(2)にはそのタスクを達成すべき理由を書く。次に目標を具体的なイメージに変換して(3)に書いてみよう。獣は抽象的なゴールを理解できないので、現実感を持たせることが重要だ。
(4)では、目標達成までのサブゴールと期日を設定する。普通に現在から未来に向かって計画を立てるのではなく、最終目標から逆算する形で決めよう。「毎日のランニングで体力を増やす」という目標なら、「3カ月後までに累計100km走る」→「1カ月後までに25kmは走る」→「14日後までに累計10kmは走る」といった具合だ。
(5)では、(4)で決めたサブゴールのなかから最も締め切りが近いものを選び、それを達成するために毎日やるべきタスクを考える。「14日後までに累計10kmは走る」であれば、デイリータスクは「トレッドミルで1km走る」「いつものコースを2km走る」などが挙げられるだろう。
このワークシートは1回書いたら終わりではなく、プロジェクトの進み具合によって定期的に修正する。特に、集中力が出ない場合は、デイリータスクを見直してみるといいだろう。
(1)脳に良い食品を増やし、(2)脳に悪い食品を減らし、(3)カロリー制限をしない。脳に良い全粒穀物・葉物野菜、ナッツ類などを取入れ、脳に悪いスナック類・揚げ物、ファストフードは減らす。実践後、約4〜8週間で脳機能の改善が見られる。
集中力が続かない二大要因「不毛タスク」と「難易度エラー」。何のためにやるのか、その仕事を通して何を得られるのかがわからなければ、必然的にモチベーションは低下。ラスボス級の敵がいきなり現れたり、ひたすらスライムを相手にしたりするのも、難易度に問題あり。少しずつ難易度が上がるからこそ、ゲームはおもしろいのだ。