常識や慣例にとらわれていると、本来の課題や目的を見失う「思考逃避」に陥ることがある。日々、「何が課題なのか」「どうすればよいのか」を考えることが大切だ。

物事の本質や大局を見て、今起きていることからある程度先の未来を予測することができる。一方、現状にとらわれずに未来を思い描くことや、「プラットフォーム戦略思考」によって、全く新しい未来を創り出すこともできる。

未来を見通す中で、顧客はどう変化していくのか、社会構造の変化や時間の経過、個人の内面の変化などを読み解くことで見えてくるものがある。

正解のない社会を生きていくために
「考える力」を鍛えよう

毎日の中で、こんなことはないだろうか? 入社年次や新卒・中途入社の別がついてまわる、上司の発言だから正しいという空気になる、会議は形式的で本音の議論が交わされない、などだ。いつのまにか組織の慣例に慣れ、「そういうものだ」と思い込み、自分で考えなくなってしまってはいないだろうか。クライアントの要求、上司の指示を、言葉どおりに受け取っていないか? 業務を手順どおりこなしているから正しいはずだと思っていないか? 本当に解決しなければいけない問題は何なのか、もっと突き詰めて「考える」必要があるのではないだろうか。

考える力をつけるには、日ごろからの思考のトレーニングを積み重ねていくべきだ。たとえば、転職や家の購入など人生の選択において、よいシナリオ、悪いシナリオをそれぞれ2年後、10年後といったスパンで想定してみる。常に思考の練習をしていくことで、答えのないことについてどう考えていけばよいか、その方法が自然と身についていくはずだ。

市場の未来を見通す
時流をつかむ

未来を予測するための考え方

未来には、「ある程度予測できる未来」と「新しく創り出す新しい未来」の2つがあると言える。「ある程度予測できる未来」を見通すために、今現在世の中で何が起きているかを見ることで、それが近い将来引き起こす社会の変化を予測することができる。たとえば人口構造の変化、各国のGDPの推移、マイクロトレンドなどである。

他業種や他市場から模倣する「アナロジー思考」を使って、今あるビジネスの中の「エッセンス」に着眼し、新たな付加価値をつけて独自のビジネスを生み出したり、競争のない未知の市場を作る「ブルーオーシャン戦略」を使って、他社が提供している価値でカバーしていない部分をあえてビジネスとしてねらったりすることもできる。日ごろから、「今何が起きているか」「何かに応用できないか」とアンテナをめぐらせておくことが未来を洞察する第一歩となる。

新しい未来を創るための考え方


「新しく創り出す新しい未来」を考えるにはどうすればよいか。ひとつは「デザイン思考」で考えることだ。過去の実績や成功にとらわれず、顧客の問題解決や願望を叶える商品をデザイン先行で考え、試作品を使って顧客の反応を見るという方法だ。

「事業構造」から顧客を考える
まずは、現在の「社会構造」や「事業環境」がどうなっているかを理解し、顧客の変化を予測するというアプローチである。このアプローチを考える上ではまず、「顧客は誰か」を明確にしておく。たとえば製造業の場合、流通チャネルである小売店の決定権が強い場合、最終的なユーザーよりも小売店を顧客としてとらえる場合もあるからだ。また、事業の決定に大きな影響を与える「ビジネス・ドライバー(推進力)」を見極めることで「ビジネス・ドライバーによって顧客はどう変わっていくのか」を予測することができる。

「時間軸」から顧客を考える分析方法である。前項の「時代分析」が、現在の延長上にある未来を予測するのに対し、このアプローチではもっと飛躍した未来について考える。遠い未来の顧客のライフスタイルについて描き、そこから、ある程度予測できる「近い未来」まで時代を遡って(バックキャスティング)考えることで、「近い未来」から「思い描く遠い未来」に到達するために自社がどのようなステップを踏んでいけばよいかを考えるものである。

遠い未来の顧客のライフスタイルを描くためには、「シナリオ・プランニング」の考え方が有効だ。「シナリオ・プランニング」では、6C分析からビジネス・ドライバーを見つけ、中でも特に「不確実性が高く」「インパクトが大きい」ものについて、それがどのようなストーリーで起こりうるかシナリオを考えるというものである。シナリオが現実的になる場合、何をウォッチしておけば兆候をつかめるか、実際に起こった時どう対処するかについてもあらかじめ戦略を立てておくことで、社会に大きな変化が起きた時でもすばやく手を打つことができる。


「時間軸」から顧客を考える分析方法である。前項の「時代分析」が、現在の延長上にある未来を予測するのに対し、このアプローチではもっと飛躍した未来について考える。遠い未来の顧客のライフスタイルについて描き、そこから、ある程度予測できる「近い未来」まで時代を遡って(バックキャスティング)考えることで、「近い未来」から「思い描く遠い未来」に到達するために自社がどのようなステップを踏んでいけばよいかを考えるものである。

遠い未来の顧客のライフスタイルを描くためには、「シナリオ・プランニング」の考え方が有効だ。「シナリオ・プランニング」では、6C分析からビジネス・ドライバーを見つけ、中でも特に「不確実性が高く」「インパクトが大きい」ものについて、それがどのようなストーリーで起こりうるかシナリオを考えるというものである。シナリオが現実的になる場合、何をウォッチしておけば兆候をつかめるか、実際に起こった時どう対処するかについてもあらかじめ戦略を立てておくことで、社会に大きな変化が起きた時でもすばやく手を打つことができる。